「働く」と「生きる」を楽しむためのレシピ

「人生100年」と言われるようになり、生涯現役がもはや当たり前の時代に突入。一人ひとりが「自分らしさ」を見つけ、ワーク&ライフを楽しむためのヒントについて考えていきます。

消費者として考える、モノやサービスの価値とは①

今日の材料:消費者、モノやサービスの価値、エコキュート、マンションの施工

今年に入ってから消費者としてちょっとしたトラブルに遭い、モノとかサービスの価値について深く考えさせられました。少し長くなりそうなので数回に分け、経験とそれについて考えたことを記事にしたいと思います。

個人の忘備録として詳細に書くつもりなので、あまり興味がない方もいたら申し訳ないですが、もしかしたらどこかで誰かのお役に立てばいいなと願っております。

事の発端は昨年末から、実家の両親が「お湯の調子が悪い」と言い始めたことです。

7年ほど前に今後の生活の不便さを考えて長く住んでいた家を離れ、新築マンションに移り住んだ両親はもう80歳前後。ややこしい手続きは難しいらしく、よくヘルプの声が上がります。

今回は「給湯器が壊れた」ということで、普通に考えれば直せばいいというだけの話ですが、私たちの当初のその予測は見事に裏切られました。結局、今年に入ってから1か月半以上どっぷりと悩ませられる出来事になりました。。

 

 

 

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エコキュートというシステムをご存じですか

実家の給湯器はエコキュートという2000年以降に開発された比較的新しいシステムです。その特徴は電気代のかからない夜中にお湯を沸かし、大きな給湯器に貯湯して昼間にお湯を供給するというもので、エコで電気代の節約になることが売りです。マンション購入を検討していた時期は東日本大震災のすぐ後だったので、断水した時でも貯湯されている水が使えるということもかなりアピールされた記憶があります。

モノを買うときはたいてい、こういうメリットばかりを強調されますよね。でもエコキュートは初期費用が非常に高いことや、貯湯する給湯器が大きくそれなりのスペースを必要とするというデメリットもあります。私はモノを買うときはあえてデメリットを聞くようにしているのですが、実家のマンション購入の際は考えることが多すぎてそこまで頭が回りませんでした。

最初にエラー表示が出たのは昨年の夏。その時はすぐに直ったものの、保証の5年を過ぎていたので出張料に技術料、部品代で2万5千円弱かかりました。その後年末になり、エラー表示はないものの今までと同じように使っているのにお湯が足りなくなったり、昼間に頻繁に湧き増しがかかるという事態が続いたようです。

両親はお風呂に入るのも気を遣う状況でした。

 

トラブル1:メーカー指定の修理業者の対応

実家のエコキュートは誰もが知る大手メーカーの製品。昨年末から続く不具合で、今年に入ってすぐにその相談センターに電話して、指定の修理業者が来ることになりました。私も立ち合い、修理スタッフが一通りリモコン操作したり給湯器やヒートポンプ(お湯を温める室外機のようなもの)を見てくれたものの異常なしとの診断。「多めのお湯を作るように設定を変えて様子を見てください」と言われ、今回も出張料と技術料をしっかり請求されました。

半信半疑だったものの、異常がないと言われれば仕方ないので様子を見ることに。でも不具合は解決せず、もう一度メーカーに電話して同じ業者に手配をしてもらうことになりました。ところが修理費用について確認すると、前回来てもらって解決していない問題なのに今回も新たに出張料や技術料が請求される、と受付の女性が言うのです。それはおかしいですよね、と言うと、その女性は何がおかしいんですか、逆ギレ。

呆れながらも話し続けると、しぶしぶ「メーカーに相談します」とのことで、その後メーカーから当たり前のように一連の修理代は一度の請求になると確認しました。日常的に修理依頼を処理している受付がきちんと対応できないことも問題だけど、そのことにメーカーが全く危機意識を持っていないことの方がもっと問題だと感じました。不安を覚えながらも修理に関してはメーカー指定の業者を使うしかないらしく、何かあったら直接メーカーに聞けるように担当者の連絡先を確保しました。

 

トラブル2:その修理業者が故障を特定できていなかった

前回の訪問から約10日後に2人目の修理スタッフが来て点検をしたところ、即座にヒートポンプの故障を特定しました。なぜ前回の人が特定できなかったのかを聞くと、「たくさんのメーカーを扱っているので、その製品に詳しくない者もおりまして」と。

は?だってメーカーが指定したんですよ、オタクを。

しかも、今回のヒートポンプ故障、基盤に関わる部分で修理が出来ず、ヒートポンプそのものを交換する必要があり、修理代は15万円かかるとシレっと言われました。

は?まだ7年も使っていないのに15万?

しかも、ヒートポンプだけ替えても給湯器と新旧の相性が悪いので、どこまで持つかはわかりません、と。修理保証は3か月、しかも交換したヒートポンプの保証のみだというのです。すでに給湯器の方も昨年夏一度壊れているし、今後また修理代がかさむ可能性はかなり大きいです。

納得できない部分が多くきちんと確認したいし、総入れ替えすることも比較検討する必要があります。でもその修理スタッフは何を聞いても返事はあやふや、修理見積もりも大雑把にしか出そうとしないし、挙句に総入れ替えと比較検討したい旨話すと、「それは(マンションの)管理人さんに聞いてください」と。恐らく大口の顧客対応しかしていないのでしょう。

話にならないので、まずヒートポンプ故障について再びメーカーに問い合わせました。メーカー担当者が修理スタッフと技術担当者に確認したところ、今回の故障は経年劣化で使い方の問題ではないけど、保証は5年なので実費。「あまりに壊れるのが早い」といくら訴えても、「機械なのでそういうことも」と言われたら何もできません。15万円も支払って後の保証もないなら、全て入れ替えて10年くらいの保証を付けて安心して使えた方がいいんじゃないか、と考えて聞いてみると、修理見積もりは出せるけどメーカーは直接個人からは見積もり依頼を受けられないと言われました。

 

トラブル3:マンションに既設の設備でも、入れ替え対応はしてもらえない

困り果てて、マンション設備のサポートセンターに問い合わせてみても、「マンションの専有部分はお客様の所有物なのでお客様の方でご対応ください」と。そこで管理会社に問い合わせてみると、規約上は給湯器のメーカーや工事会社の指定がないからどこでも良いけど、機能的な仕様については不動産会社に聞いてと言われました。そこへ電話すると、「2年以上経った物件については設備のサポートセンターへ」と。1周廻って戻りました(笑)。絵にかいたようなたらいまわしです。

例えばエアコンとか冷蔵庫など、自分で買ったものであればすべて迷わず自分で処理しますよね。でも今回はマンション購入時から既設のものであり、しかも貯湯庫はアンカーや配線など特殊の工事が必要になります。既設のメーカーを使った方がいいのか、それ以外のものでもいいのか、どこの工事会社に頼んだらいいのか、自分では判断できないと普通は考えますよね。でもそうしたことに対して、大手にはありがちな無駄に窓口が多い売主の不動産会社も管理会社も、誰も応えてくれなかったのです。

1周廻って戻ってきた設備のサポートセンターで、「どこに電話してもたらいまわしです」と言うと、オペレーターの人が同情してくれたのか「一般論になりますが・・」と前置きした上で、アドバイスしてくれました。規約上制約がないなら自分で工事会社を探し、貯湯庫を見てもらってどのメーカーを使うかを相談するといいのでは、と。自分でやるしかないのは同じでも、そういう方法でアプローチすればいいとわかっただけでも助かりました。

修理業者は信用ならないものの、全棟合わせて300世帯近いマンション全世帯を担当していることもあり、管理会社に確認した上で個人として入れ替え工事の見積もりをお願いしたいと頼みました。同時に別の工事業者に相見積もりをお願いすることにしました。

 

トラブル4:貯湯庫の問題で、入れ替えが困難と判明

まず修理業者に入れ替え工事の見積もりをしてもらうため、給湯器が入っている貯湯庫を確認してもらったところ、今度は給湯器がキツキツに入っているという別の問題が発覚。このままだと新規のものが入らないだけでなく、既設のものを取り出すのも困難だというのです。確かに素人目にも右に配管、左は水道メーターを取り付けるための細い鉄柱がそれぞれほとんどピッタリくっついていて、高さも奥行きもある給湯器を取り出すのは相当困難だとわかりました。明らかにマンションの施工の問題です。

後日改めて修理業者の入れ替え工事担当者が見に来ましたが、やはりかなりリスクの高い工事になるとのこと。見積もりもなかなか出て来ず待たされた結果、電気メーターのついている鉄柱をずらす追加工事が必要で、2,3日かかると言われました。ただでさえ個人で頼んでいるのに余計な費用までかかり、総額は目が飛び出るようなもの。しかもマンション施工に関わる工事をするというのに、そのことをどこにどう確認したかも明確にしてくれない、とてもじゃないけど任せられない業者だと思いました。

解決の糸口が見えない中でとうとう完全にエコキュートが止まり、両親は1年で一番寒いこの時期にお湯が使えないとう状況になりました。

まさに泣きっ面に蜂な状況で、八方塞がりでした。

 

続きは次回。ここまでの経験で私が考えたこと

長くなったのでこの後の展開は次の記事にしますが、この時点で全く先が見えず、特に母親が心身共にバランスを崩していたし、私自身も息子の登園拒否と重なってかなり参っていました。

震災被害などを考えれば、お湯が出ないなんて大したことではない!と当初は前向きに考えていたものの、解決の糸口が見えないとなると思った以上に堪えます。普段当たり前のように整備されている生活インフラ、なくなって初めてその大切さに気付くものなのかもしれません。

その一方で、その生活インフラのど真ん中にある住まいや設備を担う人たちと関わり、そこで露呈する価値意識とその違いが引き起こすトラブルに巻き込まれたことで、消費者としてモノやサービスの価値って一体なんなのか、深く考えさせられました。

例えば今回、マンションの管理会社の担当者などは要所要所の話を聞くだけで、「ヒートポンプを交換すれば直るんですよね」と言ってきました。確かにお湯が出ないという今の状況は一時的には解消されるかもしれませんが、決して安くはない修理費用です。その後の十分な保証もないし、修理業者に対する不信から、そもそも本当に直るのかという不安さえったのです。

さらに言えば、いつかは必ず壊れて交換する必要があるのに、貯湯庫には明らかに問題がある。そのことについて明確な対応も見えないまま問題を先送りしようとすることの意味が私には全くわかりませんでした。住まいに関わる人たちにとってのモノやサービスの価値って、住んでいる人が安心して暮らせるということではないのでしょうか。私には、ここまでに関わってきた人たちにそういうことが眼中にあるようには全く見えませんでした。

では、消費者である私たちはどうなのでしょう。今回、やたらと窓口の多い不動産会社で誰もが口を揃えて「お客様の方で対応してください」と言うのはどうしてなんだろう、とふと考えたとき、思い浮かんだことがありました。

恐らく何かを言えば、自分の責任にされてしまうという意識が働いたんだと思うのです。もしくはそういう教育を受けているのかもしれせん。それはきっと消費者側が何でも「お前のせいだ」と責任を転嫁しようと姿勢があるからなのではないでしょうか。

消費者である私たちが「お客様は神様だ」と自分たちで考えることもせず、何かあれば全て相手のせいにしようとすれば、必然的に提供者は防御線を張ってしまうでしょう。そうすることで、結局モノやサービスの質は改善されるどころか低下する一方です。思起こせばマンション購入時も、「重要事項の確認」と称して後から文句を言われないような説明と確認に異常に時間をとられました。

本来ならそんなことに時間をとるより、どうしたら快適な住まいと環境を維持できるのか、という対話を出来る場を作った方が、ずっとその価値は大きかったはずです。そもそも供給者と消費者の信頼関係さえあれば今回のような問題でここまで苦しむ必要はなかったと思うのです。

実際に、「一般論ですが」という前置きをしつつもアドバイスをしてくれた設備のサポートセンターの方のおかげで、私は一歩前に進むことが出来ました。問題に対して責任を擦り付け合うだけでなく、お互いの知識と経験を活かして話し合えば、モノやサービスの価値は上がっていくはずです。

一人ひとりがほんの少しでも意識を変えれば、それは決して難しいことではないはずです。実はこの後、こういう価値観を共有することは不可能ではない、と思える出会いがありました。

続きは下記からどうぞ。

 

kiki-sh.hatenablog.com

 

 

 

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