消費者として考える、モノやサービスの価値とは②
今日の材料:今日の材料:マンション、エコキュート、工事業者、自分の弱さ
実家のマンションで給湯器(エコキュート)が壊れ、修理代が大きくかかるため入れ替えとの検討もしたものの工事会社の対応がひどく、挙句に貯湯器を収納している場所に不具合まで見つかった前回の話の続きです。
- トラブル5:不動産会社の対応
- ネットで見つけた工事業者に助けられました
- ここで大団円・・とはいかなかった
- そして、どんでん返し
- 工事は無事に終了し、お湯が使えるようになりました
- 人生はドラマかと思う・・まさかの展開
- 結局、自分の弱さを嫌というほど知った
トラブル5:不動産会社の対応
実家のマンションの管理会社と不動産会社に、「給湯器がキツキツに入っていて新規のものが入らないだけでなく、既設のものを取り出すのも困難」という貯湯庫の問題について連絡しました。ところが驚くことに、ここでも前回同様にたらい回しに逢いました。さすがに私もキレて、「前も同じように言われましたが、これは間違いなく施工の問題だから、不動産会社で対応してください」と強く言いました。
そこでようやく不動産会社の顧客サービス担当者が施工会社の担当者を連れて現状を確認しに来ました。でもその見解は、「工事会社の技術の問題で、出来ないことはない」。
そもそも、出し入れがスムーズに出来ない時点で施工の問題ではないのでしょうか。多少の自覚はあったのか、「工事が出来ないと言った修理業者と確認し、ベストな方法を考えますのでお時間をください」と言って帰っては行きましたが、すでにお湯が出ていないんです。不動産会社の対応には心底がっかりしましたが、もうこちらはこちらで対応するしかないと割り切りました。
(※ちなみに、「お時間をください」と言われてから1か月半経ちますが、未だにそのことに関する連絡はありません。)
ネットで見つけた工事業者に助けられました
前回の記事でも書きましたが、修理業者への見積もり依頼と同時に別の工事会社を探し始めていました。何の情報もない中でネットで調べると、エコキュート販売と工事はインターネット通販や家電量販店、地元の電気屋さんやリフォーム業者など、大小含めて数多な業者が請け負っており、どう選べばいいのかさっぱりわかりません。しかも複数業者に相見積もりを取っている余裕もないとなれば、もう自らの勘に頼るしかありませんでした。
金額や施工実績はもちろんですが、ここで私が重視したのは業者が発信している情報でした。自社の宣伝だけでなく、エコキュートの工事や使い方、修理対応など、ユーザー視点に立った情報をどれだけ発信しているかということは、その業者の経験の豊富さと、どれだけお客さんの立場になれるかということが見えるものだと思いました。
そこで選んだ工事業者は母体は小さいものの全国に協力工事店があり、エコキュートに関する施工実績も多い会社でした。とにかく電話をしてみると、受付の女性の対応だけでも前の修理業者とは全く異なり、安心できるものでした。
その後、営業担当の方にこれまでの事情を話すと、経験の範囲でわかること、こちらが求めていた情報を的確に教えてくださり、誰も頼れず五里霧中にあった状況の中で本当に救われる想いでした。今回、早期の故障や修理でかなり苦慮したので、設置後の修理対応についてもしつこく事細かに聞きましたが、全てにきちんと答えてくださいました。
工事繁忙期であるため、仮見積もりでこちらが発注の意志を示してから工事担当者が下見をし、金額が変わらなければ正式な発注となる段取りでしたが、お湯が止まってしまったこちらの事情を察して下さり、正式な発注の前にすぐに仮で工事日程を組んでくれました。
この工事業者の工事スタッフが貯湯庫を確認した結果、やはりキツキツで給湯器に多少傷がつくことは了解してほしいけど、使用には支障がないものだということ、また配管は既成のもので万が一傷つけても直すことが出来るので、鉄柱は動かさなくても工事は可能という判断でした。営業担当の方からは、「工事が不可能とお断りすることもある」と聞いていたので、心底ほっとしました。
ようやく出口が見えてきました。その時点で工事日まで2週間近くあったものの、工事繁忙期に相当頑張ってくれた結果です。正式に発注し、あとは商品の納品を確認してもらうだけでした。
ここで大団円・・とはいかなかった
ところが、ここまで来て商品の納品が間に合わないということが判明しました。営業担当の方は、水漏れのリスクが大きいマンションの上階には絶対にあった方がいい緊急停止機能がついている機種を紹介してくれたのですが、その商品は受注生産で納品に1か月半以上かかってしまうことがわかったのです。
その他の商品であれば工事には間に合うけど、この機能は絶対に必要だと営業担当の方は言います。でも、他のメーカーで同じ機能を付けると、価格が大きく上がってしまう、と。
恐らく「売ること」だけを考えれば、間違いなく他の商品を進めてきたでしょう。でもこの営業担当の方はそうはしませんでした。それまでいろいろと相談に乗っていただいた過程で、その人が「お客さんが日々の生活の中で安心してお湯を使える」ということを一番大切に考えてくれていることが本当に伝わってきました。それは設置するだけで終わることではないのです。
とはいえ、真冬に高齢の両親がお湯無しでこれ以上長期に過ごすことには限界がありました。苦渋の決断で、ヒートポンプだけを交換することにしました。結局発注には至らなかったにもかかわらず、営業担当の人は修理の値引き交渉や、個人より管理組合に相談して対応した方が良いといったアドバイスまでしてくれました。
一方でマンションの管理会社などはただ話を聞くだけで、「ヒートポンプを交換すれば直るんですよね」などと言ってきましまた。15万円かけてもその後の保証もなく、修理する業者も信用できず、しかもいつかは必ず壊れて交換する必要があるのに、その時業者が見つかる保証もない。そんなこちらの事情は全く眼中にないのです。
いかに相手の立場になれるかということは、個人の器量なのでしょうか。それとも会社の環境なのでしょうか。いずれにしても、結局モノやサービスの価値を決めるのはそれを扱う人なんだ、と改めて実感しました。
そして、どんでん返し
そこから、まさかの展開が待っていました。「壊れたら必ず御社にお願いします」とお世話になった工事業者にお断りを入れた翌日、営業担当の方が連絡をくださり、「あれからも探してみたら、あったんですよ!ある倉庫に!」と。「もちろん、修理依頼のキャンセルが出来るか、それをされるかどうかはお客様次第なのですが・・」と言ってくださいました。
運良く私の方の都合で修理業者への依頼はその電話が来る直前にしていたため無事キャンセルすることが出来、新規入れ替え工事が出来ることになったんです。
しかも、その営業担当の方はその日、休日だったにもかかわらず、手配業務をしてくださいました。仕事に信念を持って働いている、こういう人こそが自分軸で生きている人だと心から思いました。工事の日までは不安もあり、対応についてもまたいろいろ質問してしまったのですが、いつでもきちんと答えてくださるだけでなく、「お任せください!」と自信を持って言ってくださいました。感謝だけでなく、尊敬の気持ちでいっぱいでした。
工事は無事に終了し、お湯が使えるようになりました
当日、工事スタッフの方々も感じの良い方たちで、思った通り既設のエコキュートを搬出するのには相当手間取ったものの、根気よく対応してくださったおかげで無事工事は終了しました。
実はこの日、工事のことを連絡した管理会社と不動産会社の担当者が「参考のために」と視察に来ました。私たちのためではありません。今後同じようなことが起こったときの対処のためです。
聞けば修理業者の対応の問題はうちだけではなかったようで、私が自分で探した工場業者の対応が良さそうなので今後も紹介させてもらいたいと言っていました。
もちろん、一連のことに対するこちらの考えは全て話しましたが、「申し訳ありません」というだけです。私たちはただの実験台みたいなものですよね。ハラワタが煮えくりかえるとはまさにこのことです。でも結局「大きい会社」という安易な判断基準で不動産会社を選んだ私たちの責任でもあるのでしょう。せめて今回の経験が、誰かの役に立てばと願うだけです。
人生はドラマかと思う・・まさかの展開
実はこの話、これでは終わらなかったんです。
無事に工事が終わり、管理会社の担当者も不動産会社の担当者も帰っていったのですが、後から不動産会社の人が戻ってきました。
「実は、今回の製品に今日、メーカーからリコールがかかりました。ヒートポンプの不良が発覚したそうです。先ほど工事業者が持ち帰った壊れたヒートポンプを回収させてもらえませんか」
工事の当日にリコールって・・・。仕組まれていたのかとすら思えてしまいますが、「やはり欠陥品だったのか・・」というオチです。でもその不動産会社の担当者は根拠もなく「今回のお客様の不具合とは関係ないということはわかっているのですが」ということを言っていました。どこまで責任回避したいんでしょうか。
そして、その日から約1か月経ちますが、メーカーからも不動産会社からも何の連絡もありません。あんなに苦労して、結局全て自分で対応して、その問題のヒートポンプはリコールがかかった・・。こちらがどれだけ悔しい気持ちか、想像するのはそんなに難しいことではないと思います。
昨今の新型コロナウイルス問題でいろいろと対応が難しくなっている可能性もありますが、これまでの対応から考えても、こちらが何も言わなければ何も連絡はないかもしれません。もはや残念を通り越して、全て忘れたい、なかったことにしたいとすら思ってしまいました。
結局、自分の弱さを嫌というほど知った
文章がだんだん後ろ向きになっていることからも伝わるかもしれませんが、今回のことは相当に堪えました。あまりに辛くて、自分がこれまで「自分に向き合おう」とか、「想いをきちんと伝え合おう」とか書いていたことが全て綺麗ごとで現実離れしているように思えてしまいました。
本当に情けない話ですが、ブログを書くのも読むのも辛くなってしまって・・。実は前回記事を書いた後も、また思い出すのが辛くなって記事を書き進められない上に、思い切って別の話題にしようとしても、やっぱり書けなくなってしまいました。
これまで、年齢なりにいろいろな経験をしてきたつもりで、それなりに肝が据わってきたつもりでした。でも今回人の対応に泣かされ、こちらがどんなに状況や想いを話しても、伝わらなかった・・。結局何も納得できないまま終わってしまい、人が信じられなくなっただけでなく、自分自身がこんなにも弱かったのか、ということも嫌と言うほど思い知りました。
回収されたものがどうなったのかを問い合わせられなかったのも、また相手の対応に傷付けられるのが嫌だったからです。もう何もかも忘れたくなりました。
「対話が大事」と何度も書いていた私が、こうですからね・・。
でも少し時間が経ち、情けない自分のことも含めて全て書けなければ、「書くことに信念を持つ」とは言えない、と思い直しました。メンタルが弱くて切り替えが出来ない、そんな自分には嫌気がさしますが、だからこそ続けなければ何も変わりません。
答えは出ないかもしれないけど、きちんと言うべきことは言おうと思い、不動産会社の担当者に回収したヒートポンプの検査結果をきちんと報告してもらえるように連絡しました。
ちなみに工事は無事終わり、お湯もきちんと出ています。それが決して当たり前でないことに気付けたこと、ネット情報でも真摯に対応していただける業者を見つけることは可能だとわかったことが、この経験を前向きにとらえさせてくれると今は思っています。
自分が書いてきたことは決して簡単に出来ることではないと、改めて自覚しました。だからこそ、ダメでもまた向き合っていかなければならないということも。そのことを心に持ちつつ、また頑張って書いて行こうと思います。