「働く」と「生きる」を楽しむためのレシピ

「人生100年」と言われるようになり、生涯現役がもはや当たり前の時代に突入。一人ひとりが「自分らしさ」を見つけ、ワーク&ライフを楽しむためのヒントについて考えていきます。

いまになって、読書の本当の面白さを知る

今日の材料:読書、興味、知識、禅、真・善・美、アート、経営戦略

私は少し前まで、読書をしていませんでした。

何かを読むことはよくありましたが、それは読書ではなく文字通り「何かを読んでいた」だけ。

とくに30歳で大学院に進学して読む対象が「論文」や「研究書」になってから、いつのまにか書物は「自分の主張の根拠をみつける対象」になっていたような気がします。

それは自分が「いま」もっている興味の枠組みのなかで、必要な知識や情報を得るための一方向的なもの。

でも、自分の人生で何を目指すのかが少しずつ明確になってきてから、本への向き合い方も変わってきたような気がします。

ブログを書くことも、そのきっかけだったのかもしれません。

このブログで以前【書くことも読むことも対話だ 】という記事を書きました。

対話は、創造的なコミュニケーション。相手が本であれば、読み進めていくほど自分と本の「その先」への興味も広がっていく。当然、得られる知識の質も変わっていきます。

昨年のコロナ休校のとき、毎日子どもと過ごすなかで【知識に価値があるのは、興味という基礎があるからだ】という気づきを記事にしました。いま、自分自身がそのことを実感しています。

本との向き合い方がかわったもうひとつのきっかけは、ライターの仕事を請け負うようになったこと。

人が自分らしく働き、生きるってどういうことか。そういう働き方ができる場ってどういう場なのか。それを人や組織のストーリーから探ることが、これまでの私の興味の中心にありました。

その根っこは変わらないものの、ライターの仕事をとおしてそのことを、経営という視座でも考えるようになりました。

戦略やマーケティングといった具体的なビジネス分野にも、興味が広がっています。

 

 

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最近読んだ本のことを忘備録として書いておこうと思います。

 

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傷つきやすい人のための 図太くなれる禅思考』(枡野 俊明著・文響社

自分のなかのこだわりを少しずつ解いて生きやすくなるためのヒントをくれた一冊。

禅僧である枡野さんが教えてくれる智恵は、たんなる精神論ではなくすべて禅の思想を根拠としたもの。自分のこころにすっと落ちてきました。

「無神経でも図々しくもない、たくましく、おおらかな、真の『図太さ』」

たぶん、私が一生をかけて追い求める価値のある目標だと思います。

 

『世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか?経営における「アート」と「サイエンス」』(山口周著・光文社新書

枡野さんの本を読み、ものごとを判断するうえでの超越的感覚、いわゆる「真・善・美」の大切さを実感しました。

美術史を専攻し、経営コンサルとなった山口周さんのことは以前から気になっていましたが、この本を読んでみようと思ったきっかけは間違えなく、前書を読んだからです。

意思決定の原点にアートを置くことの意義、論理や理性の説明力によって、直観や感性を鈍らせてはならないということを強く印象づける本でした。

 

『ストーリーとしての競争戦略 ―優れた戦略の条件』(楠木建著・Hitotsubashi Business Review Books)

言わずと知れた経営戦略の名著で、じつは何度か拾い読みをしていました。でも、この本のすごさはまったくわからなかった。「一方的なやりとり」と「対話」の違いを何より実感させてくれた一冊です。

私のこれまでの関心は、個人の人生のストーリーだったのですが、ストーリーの首尾一貫性には注目していました。一貫しているほど、その人らしい人生になっているわけですが、それは戦略のストーリーにしても同じなんだと心から納得できました。

優れた戦略家は、機会や脅威を受けてある特定のアクションをとるときに、それがストーリー全体の文脈でどのような意味を持つのか、それを取り巻く他の構成要素とどのように連動し、競争優位の構築や維持にとってどのようなインパクトを持っているのかを深く考えます。」(p.223)

戦略も人生も、まったく同じ。全体のストーリーのなかでひとつひとつの要素をどうつなげていくのか。その面白さを教えてくれた本です。経営をしてみたくなりましたが、それはムリなので(笑)、ストーリーとしてこれからの人生をマネジメントしてみたいです。

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もっと早く読書の面白さを知っていれば、というのが本音。それでもいま、本を読みたくて仕方がないと思えること、すごく幸せです。

でもだぶん、本の本当の面白さは創造的な対話の結果を発信することにあるはず。

それは、「書くこと」以外のなにものでもありません。

 

 

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