「働く」と「生きる」を楽しむためのレシピ

「人生100年」と言われるようになり、生涯現役がもはや当たり前の時代に突入。一人ひとりが「自分らしさ」を見つけ、ワーク&ライフを楽しむためのヒントについて考えていきます。

「物語」の力をさらに問う―多様性を創造力にするために―

今日の材料:多様性、創造力、物語、知恵を集める

日本は単一民族国家と言われますが、時代の変化と共に多様性はますます増しています。まだまだ多数派が生きやすいものの、「多様性が創造力を生む」といった潜在的可能性も、あちこちで叫ばれるようになりました。

でも実際には、さまざまな志向や経験を持つ人たちの知恵を集めて一つのものを創り上げるということは、言うほど簡単なことではありません。

例えばいろいろな住民がいる地域コミュニティ、必ずしも目的意識が共有されていないグループや組織などでそれを実現するのは、本当に難しいことです。

興味や志向、利害などが一致しなければ、人はなかなか同じ方向を見ることは出来ないからです。結果として多様性は、建設的な対話や実践の阻害要因となってしまいます。

では、どうしたら人は同じ方向を向くことが出来るのでしょうか。

以前【理屈よりも深い納得を生む物語の力】という記事で、「物語」というのは、実は合理的な説明よりずっと物事への納得を生み出すものだと書きました。

この記事は、自分史上最高のブックマークを頂きました。物語の力に共感してくださる方は多いのかもしれない、と自分の中に納得がありました。

多くの人の心を動かす物語、それは多様性が増す現代社会で、創造的な力を発揮するものになるのでは、と思います。

 

 

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物語が生み出す納得には、感情や情緒によって人を動かす力があります。

一般的には、人を説得するためには論理性が必要だと言われます。私自身、大学院で文章を書くようになってから、いかに論理的に組み立てるか、ということをたくさん考えるようになりました。(実際にそう教えられますし。)

でも論理的な文章でも相手に伝わらない、ということが多々あることに気付くようになりました。私の力不足もあるのですが、読み手に何かを伝えようと思うとき、論理性以外にも考えるべきところがあると思うようになったのです。

論理性は、ある意味では客観的な説明と言い換えることが出来るかもしれません。でも【創造性は意外性から始まる―異なる視点を受け入れてみよう】という記事でも書いたように、人というのはどう頑張っても、自分自身の視点から逃れて物事を見ることは出来ません。

純粋に「客観的」であるということは、本来あり得ないのです。興味も知識も異なる人に何かを伝えたいと思ったとき、論理性というのは数多くある基準の一つに過ぎません。(私は研究者には向きませんね・笑)

そんな私がたくさんの論文を読んだ中で心に残ったのは、分析や検証方法の正確性とか発見事実の希少性を訴えるものより、研究の目的や見出されたことに対する執筆者の想いが伝わってくるようなものでした。

そしてその想いは、筋書きを持つ物語として自然に沁み込んできたのです。想像力のない私のような人間でもやはり、ストーリーの要素を持つ文章にひかれていきました。

多様なアイディアから一つのものを創り上げようとするとき、 初めから誰もが納得する答えを見つけ出すことはとても難しいことです。

でもその前に、人の心を動かすような物語づくりのプロセスを共有することで、そこに共感を生み出すきっかけになるかもしれません。

例えばあるコミュニティやグループ、組織の過去から現在までの歴史とか、参加者が共有する出来事をみんなでストーリー化してみるところから始めてみてはいかがでしょう。

そのストーリーが、もともとの目的に向かって取り組む良いきっかけになるかもしれません。あるいはそのストーリーそのものが、目的につながる可能性もがあると思います。

ストーリーの要素は様々です。出会いや別れ、笑いや怒り、ハッピーエンドや意外な展開―物語をどう面白くできるかを考えることは、結論をださなければならない話合いよりずっと心のハードルを下げるものだと思うのです。

もちろん、期限がある仕事ではそういう訳にはいきません。「そもそも論・再考」と言う記事でも書きましたが、時と場合を見極めることは絶対に必要です。

でも今のように複雑な社会の中で意味を持つアイディアは、単一的な物の見方からは絶対に出て来ないでしょう。多くの人の知恵を集めるということに、私たちは今まで以上に注力する必要があると思うのです。

その時、物語はきっと想像以上にその力を発揮するに違いありません。

 

 

※創造性につながる人間関係の在り方や教育に関して以下のような記事も書いています。

kiki-sh.hatenablog.com

 

 

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