老後「2000万円」問題に取り組む前に、まずは自分探しから
今日の材料:老後、2000万円、不確実な未来、備え、自分探し
老後「2000万円」問題が大きな話題となっています。
高齢夫婦(夫65歳以上、妻60歳以上)にとって今後不足となる生活費の試算として、金融庁が報告したものです。これに伴い、「公的年金制度への不安を煽るものだ」という政治論争や、「どうしたら2000万円貯められるか」という資産運用のすすめなど、様々な議論が飛び交っています。
ところでこの話題、良くも悪くも、どうしてこれほど私たちの心をとらえるのでしょう。
不確実な未来への不安―実はこれ、日本人の最も苦手なもの、もっと言えば、最も回避しようとするものなのです。
だから政府与党は必死になって「100年安心」を主張するし、金融知識のある人たちは、こぞって「2000万円を貯める方法」を提案しているのだと思います。
でも、そもそも「不確実な未来」を、今から回避することなど出来るのでしょうか。
「未」だ「来」ぬ日々のこと、誰にもわかりません。数十年前に、今現在の状況を予想出来た人がどれほどいるでしょう。さらに人も環境もますます複雑化している世の中で、未来の保証など出来るわけありません。
でも不思議なことに、私の周りには不確実な未来をそれほど恐れない人がいます。
今、自分自身としっかり向き合って生きている人です。
出来れば見たくない現実、自分自身にとって「痛い」本音から目をそらさず、きちんと周りの人と対話し、問題と向き合っている人です。
身近な人との信頼関係が築けているからこそ、見えない未来にも対処できるという自信があるのかもしれません。
今、未来の不安に備えること、それ自体には大きな意味があります。
でもその最良の方法は、まず今の自分をきちんと確立することによって初めて、見えてくるのではないでしょうか。
仕事のこと、恋人や家族との関係、子育てや介護、自分自身のワークライフの中で、自分の目指す姿とそのギャップ・・。まだきちんと向き合えていない大切な問題についてしっかり考え、大切な人と建前でなく本音を話して、理解し合い、納得し合うことが、何より見えない未来への備えとなりませんか。
未来は単独で存在するのではなく、必ず今とつながっています。
「2000万円」を備える前に、まず今の自分自身としっかり向き合ってみませんか。